Bushido (武士道)

「Bushido」シリーズ

絵画

「武士道」とは日本の武士の道徳規範であり、ある意味ではヨーロッパの騎士道になぞらえることができる。「武士道」という言葉は、一般に武士文化のあらゆる慣習と行動規範を総じて表現するのに用いられます。人は、身体的あるいは感情的にも、逆境に置かれたときの瞬時の反応によってその本質が明らかになり、人格が現れるという私自身の信条を踏まえて、この「Bushidoシリーズ」は「時間」と「人格」を二つのテーマとしています。

空手に親しみ、アメリカ海兵隊に所属した経験の中で、規律と努力によって人生を大きく改善できた人々を少なからず目にしてきました。北海道大学の留学生時代に武士の哲学に初めて触れたとき、その忠誠心を重んじる精神と、自らの人生を役立てようという強い思いにたちまち親近感を覚えました。武士は生涯、主君に役立つ人間になるよう鍛錬する。海兵隊員は祖国に奉仕することを目指して訓練を積む。こうした訓練を積み重ねた結果がしばしば、苦境や死の脅威に直面した時の一瞬の反応に現れます。

「Bushidoシリーズ」の絵画にはよく絵の具を飛び散らせた手法を用い、この人格が現れる一瞬を表現しています。自然発生的な現象に見えるよう、書道用の柔らかい大筆を使い、刀を振るように弧を描いて絵の具を叩きつける。自身を鍛えていなければこの動作は不可能であり、画布には24金の金箔を入念に貼り付けてあり、絶対に失敗はできないのです。

私は作品の中で、力強い動きを通して人格が現れるこの貴重な啓示の瞬間に焦点を当てて、犠牲、人格、忠誠心というテーマを探っています。私にとって、自らを犠牲にして他者に尽くすことは、人間が成しうる最も繊細で美しい行為であると思います。

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